「Microsoft 365 Copilotを契約したけれど、結局メールの下書きくらいしか使えていない」――そんな声を中小企業からよく聞きます。Copilotは、WordやExcel、Teams、Outlookといった普段使っているOffice製品の中で動く生成AIですが、具体的な使いどころを知らないと宝の持ち腐れになりがちです。
本記事では、中小企業がすぐ真似できるMicrosoft 365 Copilotの活用例を、アプリ別に10個紹介します。前回までの生成AI導入7ステップ、AI業務棚卸し、社内ガイドライン雛形の続編として、「実際に何ができるのか」を具体的にイメージできる内容です。
そもそもMicrosoft 365 Copilotとは
Microsoft 365 Copilotは、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなどのアプリに組み込まれた生成AIアシスタントです。一般的なChatGPTと大きく違うのは、自社のメール・ファイル・チャットといった業務データを踏まえて回答してくれる点にあります。
たとえば「先週の田中さんとのメールのやり取りを要約して」と頼めば、実際のメールを読んで要約してくれます。社内の文脈を理解したうえで動くため、汎用の生成AIよりも業務に直結した使い方ができるのが強みです。
それでは、アプリ別に具体的な活用例を見ていきましょう。
Teams での活用例
活用例① 会議の自動要約と議事録作成
Teams会議にCopilotを使うと、会議内容をリアルタイムで把握し、終了後に要約・決定事項・ToDoを自動でまとめてくれます。議事録作成の手間がほぼゼロになり、「言った言わない」のトラブルも減ります。会議に途中参加した人が「ここまでの内容を教えて」と聞けば、その場で追いつけるのも便利です。
活用例② 未読チャットのキャッチアップ
長期休暇明けなどに大量のチャットがたまっていても、「自分宛ての重要なメッセージを要約して」と頼めば、Copilotが優先度の高いものを抽出してくれます。情報の取りこぼし防止と、朝の確認時間短縮に効きます。
Outlook での活用例
活用例③ メール下書きの自動作成
「A社への納期遅延のお詫びメールを丁寧な敬語で」のように指示すると、状況に応じたメール文面を生成します。ゼロから書く必要がなくなり、文章作成が苦手な人でも一定品質のメールを素早く作れます。
活用例④ 長いメールスレッドの要約
何十通も続いた長いやり取りも、「このスレッドの経緯と現在の論点を要約して」で一発把握。担当引き継ぎや、途中から入った案件のキャッチアップで威力を発揮します。
Word での活用例
活用例⑤ 提案書・報告書のドラフト作成
「新サービスの提案書を、背景・課題・解決策・費用の構成で作って」と指示すれば、たたき台を一気に生成します。白紙から書き始める心理的ハードルがなくなり、作成スピードが大きく上がります。
活用例⑥ 文章のリライト・トーン調整
既存の文章を選んで「もっと簡潔に」「経営層向けの表現に」と頼めば、瞬時に書き換えてくれます。社外向け文書の推敲や、硬い文章をやわらかくしたいときに重宝します。
Excel での活用例
活用例⑦ データの傾向分析とグラフ提案
売上データなどを渡して「月別の傾向を分析して、適切なグラフを提案して」と頼むと、傾向の説明と可視化を行ってくれます。関数やピボットテーブルに不慣れな人でも、データから示唆を得やすくなります。
活用例⑧ 複雑な関数の作成サポート
「複数条件で売上を集計する関数を作って」のように自然な言葉で頼めば、Copilotが数式を提案します。「どの関数を使えばいいか分からない」という典型的なつまずきを解消できます。
PowerPoint での活用例
活用例⑨ Word文書からスライドを自動生成
すでにあるWordの企画書や報告書を元に、「この内容でプレゼン資料を作って」と指示すると、スライド一式のドラフトを生成します。資料の二重作成がなくなり、会議準備の時間を大幅に短縮できます。
活用例⑩ スライドの要約とノート作成
出来上がったスライドに対して「各スライドの発表者ノートを作って」と頼めば、話す内容の原稿まで用意してくれます。プレゼンに不慣れな担当者の支援に役立ちます。
中小企業がCopilotを活用するためのポイント
活用例を見て「便利そう」と思っても、導入してすぐ全社で使いこなせるわけではありません。中小企業が定着させるためのポイントを3つ挙げます。
ポイント① 小さく始めて成功体験を作る
いきなり全社展開せず、まずは会議の多い部署や文書作成の多い担当から始めるのが定石です。「議事録が楽になった」といった具体的な成功体験が、社内全体への波及を後押しします。
ポイント② 使い方を社内で共有する
Copilotは「何をどう頼むか(プロンプト)」で成果が大きく変わります。うまくいった指示文を社内で共有する仕組みをつくると、全体の活用レベルが底上げされます。
ポイント③ 情報の取り扱いルールを決めておく
Copilotは自社データを扱うため、利用ルールの整備が欠かせません。どの情報をどう扱ってよいかを明確にしておきましょう。具体的なルールづくりは、生成AI社内ガイドライン雛形の記事が参考になります。
導入前によくある疑問
Q. ChatGPTがあればCopilotは不要では?
用途が異なります。ChatGPTは汎用的な対話や調べ物に強い一方、Copilotは自社のメール・ファイル・スケジュールを踏まえた処理に強みがあります。「社内データを扱う業務」はCopilot、「一般的な調べ物やアイデア出し」はChatGPT、と使い分けるのが現実的です。両方を併用している企業も少なくありません。
Q. 入力した社内データは学習に使われない?
Microsoft 365 Copilotは、法人向けのデータ保護の枠組みのもとで提供されており、入力した業務データが汎用モデルの学習に使われない設計とされています。ただし、設定や契約形態によって扱いが変わる場合があるため、導入時に自社の利用範囲を確認しておくことが重要です。あわせて社内の利用ルールも整備しておきましょう。
Q. 費用はどのくらいかかる?
Copilotは既存のMicrosoft 365ライセンスに追加する形のオプションで、ユーザー単位の月額課金が基本です。全社一斉ではなく、効果の高い部署から少人数で始めれば、初期コストを抑えながら効果を検証できます。料金やライセンス構成は時期により変わるため、最新の条件は導入時にご確認ください。
まとめ
Microsoft 365 Copilotの活用例を、アプリ別に10個紹介しました。ポイントを再掲します。
- Copilotは自社のメール・ファイル・チャットを踏まえて動く点が強み
- Teamsの議事録自動化、Outlookのメール下書きは効果を実感しやすい入口
- Word・Excel・PowerPointでも、ドラフト作成や分析で大きく時短できる
- 小さく始めて成功体験を作り、社内で使い方を共有することが定着のカギ
- 自社データを扱うため、利用ルールの整備をセットで進める
まずは自社で一番時間のかかっている業務に、Copilotを1つ当ててみてください。議事録、メール、提案書――どれか一つでも効果を実感できれば、活用は自然に広がっていきます。
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