紙の帳票がかさばる、タイムカードの集計作業が面倒…アナログな業務にお悩みの方も多いですよね。「IT化」という言葉が登場して久しい日本ですが、いまだに多くのアナログ業務があるのではないでしょうか。これからの時代を生き残るためには、すべての企業にIT化が求められます。
しかし、IT化をどのように進めていけば良いか分からずお悩みの方も多いでしょう。大企業ではIT化が進んでいるところも増えていますが、中小企業ではまだまだ多くありません。中小企業がIT化を進めるためには、IT化の基礎知識やポイントについて把握する必要があります。
そこでこの記事では、中小企業がIT化を進めるために必要な情報について一通りお伝えします。アナログな業務に課題を感じている方は、ぜひご一読ください。
IT化とは、具体的に何をするのか
そもそも「IT」はInformation Technology(情報技術)の略で、コンピュータやネットワークを駆使して情報を扱う技術です。よってIT化とは、このような情報技術を仕事に取り入れることを指します。もっと簡単に言えば、仕事のやり方をアナログからデジタルに変えることです。
例えば申請業務を紙で行ったり、ホワイトボードでスケジュール管理したり…アナログなやり方の業務も少なくありませんよね。IT化では、これらを申請書の電子データ化やオンラインツールでのスケジュール管理などによって、業務のやり方をデジタル化します。
IT化は行政機関である「中小企業庁」も推進しており、補助金などの支援を行っています。しかし各中小企業にとってもIT化は、積極的に取り組むべき重要なテーマです。なぜIT化が求められているのか、その理由は次の章で解説しましょう。
中小企業でIT化を進める3つのメリット
中小企業でもIT化を進めるべき理由は、以下3つのメリットが大きいためです。それぞれについて解説しましょう。
メリット1:生産性向上につながる
デジタルなやり方にすることで格段に業務効率化でき、生産性向上につながるのがIT化による最大のメリットです。たとえば、資料の作成をパソコンで行う場合と、紙へ手書きする場合を比較して考えてみましょう。
ボールペンなどを使った手書きだと、書き間違えたときの訂正が面倒なうえに、煩雑になりやすいですよね。最悪の場合、紙を取り替えなければなりません。また、同じ文章が繰り返し登場する場合、何度も同じことを手書きすることになり非効率的です。
一方、パソコンであれば打ち間違いもすぐに直せますし、コピーアンドペーストで定型文を流用することも可能です。しかも、パソコン作業を効率化できる便利なツールも多数あるため、アナログなやり方に比べて大抵の業務は効率化できるでしょう。中でも、パソコンの定型作業を自動化するRPAを使えば、飛躍的に業務効率化できます。
RPAについてより詳しく知りたい方には、以下の記事もおすすめです。
RPAで事務作業を自動化しよう!その効果や導入のポイントを解説
メリット2:情報を管理・共有しやすくなる
アナログの代表といえる紙の書類は、複数の社員に情報共有するのには向いていません。同じ書類を何枚も印刷して配るようでは、コストも手間もかかってしまいますよね。また重要書類の場合は慎重な取り扱いが求められ、破損や紛失といった管理上のリスクも大きいでしょう。
その点、IT化によりパソコンで情報を管理するようにすれば、紙を印刷する必要がなく無駄がありません。情報共有もネットワーク経由で簡単に行えるようになるので、情報の展開漏れによるトラブルも防げます。
このように、IT化によって情報の管理や共有がしやすくなり、組織力やチームワークの向上につながるのもメリットです。しかも、紙で扱っていた情報を電子データにすることでペーパーレス化を実現でき、資源や管理コストの削減にもつながります。
メリット3:柔軟な働き方がしやすくなる
働き方改革やコロナウイルスの影響で、最近ではテレワーク(リモートワーク)がすっかり身近なものとなりました。テレワークでは直接的なやり取りができないため、オフィスにいることを前提とした業務は従来通りできません。アナログな業務だと、このような予測が難しい状況の変化に対応するのは難しいでしょう。
その点、パソコン作業であればオフィスワークのような制約が少なく、テレワークのような新しい働き方にも対応できます。ネットワーク環境を整備すれば、自宅でも十分なコミュニケーションが取れます。IT化を進めることで、このように柔軟な働き方がしやすくなるのもメリットです。
以下の記事ではテレワークを導入する際のポイントを4つ紹介していますので、併せてご覧ください。
中小企業におけるIT化の現状
中小企業庁が2020年8月に発行した「事務局説明資料」によると、中小企業と大企業では「IT装備率」に大きな差があります。IT装備率とは、社員1人に割り当てられたIT資産額のことです。大企業では製造業が70万円、非製造業が102万円なのに対し、中小企業では製造業が3万円、非製造業が4万円しかありません。
中小企業のIT装備率は、大企業の5%にも満たないことが分かります。IT装備率が低いと、社員がIT資産を十分に活用できないことになります。つまり、中小企業のIT化は大企業に比べて大きく遅れていると言えるでしょう。
なぜ、中小企業のIT化は遅れているのか
では、中小企業のIT化が遅れているのは何故なのでしょうか。当然ながら、資金面を考えれば大企業ほどIT化に投資できない理由もあります。
しかし、単にそれだけが要因ではありません。他に考えられる大きな要因は、2つあります。
要因1:IT化に関する情報があまり入って来ない
企業規模が大きくなると外部との関わりが増える分、IT化に関する情報が外部から入って来やすいでしょう。一方で、中小企業の場合はIT化について外部に相談できる人が少なく、導入方法などの情報が入りづらい傾向があります。
実際のところ、中小企業庁が2018年に発行した「中小企業白書」の「社外におけるITに関する事柄の日頃の相談相手」にも、この傾向が表れています。IT化の進んでいないボトム層では「特に相談者はいない」の割合が27.0%と、突出して高いです。IT化に関する有用な情報が入りづらいため、うまく取り組めていない中小企業が多いと分かります。
要因2:保守的な企業風土であることが多い
中小企業に限った話ではありませんが、従来のやり方を変えようとしない保守的な企業風土であることが多いのも大きな要因です。このような企業風土では「安定」が特に重視されるため、新しいことを取り入れようとする雰囲気がそもそも生まれにくいでしょう。
IT化を行うと従来のやり方とは大きく変わるため、慣れるまでは時間がかかったり、トラブルが発生したりすることもあり得ます。そのため保守的な企業風土だと、従来とは異なるデジタルな仕事のやり方に抵抗を持つ社員も少なくありません。結果として従来のやり方が優先され、IT化が進まなくなります。
中小企業がIT化を進めるためのポイント
IT化を進めなければ大企業との差はさらに広がり、中小企業がこれからの時代に生き残るのは容易ではありません。中小企業でIT化を進めるためには、前章で解説したIT化を妨げる要因を解消する必要があります。
保守的な企業風土を、それぞれの現場がボトムアップで変えていくことは難しいでしょう。経営陣がIT化に対する強い目標意識を持ち、ある程度はトップダウンで現場を主導することも必要です。IT化を取り組む目的や解決すべき課題を明確にし、全社的に情報共有することが求められます。
また、IT化の取り組みを進めるためにはITツールなどの詳しい知識が欠かせないため、自社だけで進めようとしてもなかなか上手くいきません。IT化に関する相談相手が外部にいない場合は、業務改善コンサルに依頼しましょう。IT化を進めるためのノウハウを持つプロの力を借りることで、効率的に取り組みを進められます。
弊社では、RPAを始めとしたITツールの導入支援から運用まで、企業がIT化を進めるためのお手伝いをしております。実際にIT化を実現して業績アップした企業も増えているので、自社でIT化を進められずお悩みの方はぜひ、お問い合わせください。
とさて、今回は中小企業がIT化を進めるために必要な情報について、一通りお伝えしました。内容について振り返りましょう。
・IT化とは、仕事のやり方をアナログからデジタルに変える取り組み
・中小企業でIT化を進める3つのメリットとして、生産性向上につながる、情報を管理・共有しやすくなる、柔軟な働き方がしやすくなる
・中小企業のIT装備率は、大企業の5%にも満たない。中小企業のIT化は大企業に比べて大きく遅れている
・中小企業のIT化が遅れている大きな要因として、IT化に関する情報があまり入って来ない、保守的な企業風土であることが多い点がある
・中小企業がIT化を進めるためのポイントとして、IT化を取り組む目的や解決すべき課題を明確にし、全社的に情報共有する、IT化に詳しい業務改善コンサルの力を借りるがある
これからの時代を生き抜くためには、中小企業にとってもIT化が求められます。今回ご紹介した情報を参考にして、ぜひIT化を進めていきましょう。