残業が多くてプライベートな時間がない、オフィスワークで育児や介護ができない…このような悩みを抱えている方も多いですよね。日本企業での一般的な働き方には場所や時間の制約が多く、仕事とプライベートを両立させることは難しいことが多いです。
これからの時代を生き抜いていくために、どの企業にも欠かせないのが「働き方改革」です。この言葉を聞いたことのないビジネスパーソンは、まずいないでしょう。しかし、どうやって働き方改革をビジネスに取り入れていけば良いか、分からないですよね。
そこでこの記事では、企業が働き方改革を実現するために知っておきたいアイデアや事例についてご紹介します。働き方改革の進め方に悩んでいる企業の方にとって役立つ情報が詰まっていますので、ぜひご一読ください。
働き方改革とは
「働き方改革」とはその名の通り、日本企業における働き方を抜本的に改革するための政策です。2019年から施行が始まり厚生労働省が全国的に推進しているので、どの企業にとっても重要なテーマといえます。働き方改革が始まった背景にあるのは「3本柱」と呼ばれる、日本企業が抱える以下の課題です。
- 長時間労働の是正
- 正規・非正規の雇用格差解消
- 多様で柔軟な働き方の実現
ひとつずつ、解説しましょう。
長時間労働の是正
多くの日本企業では、「働きすぎ」が問題視されています。「データブック国際労働比較2019」によると、長時間労働者の割合を27か国で比較した結果、日本は2018年時点で男性が2位、女性が5位という高さでした。日本企業では多くのビジネスパーソンが長時間労働していることが分かります。
労働時間が長くなれば当然プライベートな時間が少なくなり、人生の自由や多様性を奪うこととなってしまいますよね。このような長時間労働を是正し、仕事もプライベートも充実させる「ワーク・ライフ・バランス」の向上が、働き方改革の狙いの1つです。
正規・非正規の雇用格差解消
賃金などの待遇面で正規雇用・非正規雇用との間にある大きな格差も、日本企業が抱えている課題です。非正規労働者の割合は年々増えているにもかかわらず、その多くが不利な雇用条件を強いられています。充実した働き方ができない国民が増えることで、理想とするワーク・ライフ・バランスの向上が難しくなってしまうでしょう。
働き方改革には、このような正規雇用・非正規雇用の雇用格差を解消しようという狙いもあります。非合理な待遇格差の禁止に加えて、非正規労働者が待遇差について雇用者への説明を求められるようになるのが大きなポイント。非正規労働者が不満なく働ける環境を作ることが、日本国民の人生を豊かにすることにつながります。
多様で柔軟な働き方の実現
勤務場所や勤務時間といった働き方の制約が大きいことも、日本企業が抱えている課題です。「決まった時間に決まった場所で」という働き方では、育児や介護が必要な方にとっては働けるチャンスが失われてしまいます。共働き世帯や若年介護者は年々増加しており、このような制約は働くうえでさらに大きなネックとなるでしょう。
このような制約を減らし、ビジネスパーソンがさまざまな働き方を柔軟に選択できるように変えていくことも、働き方改革の狙いです。柔軟に働きやすいリモートワークの推進はもちろん、育児休暇や有給休暇などの取得も推進しています。公式サイトにも以下のように書かれており、多様で柔軟な働き方の実現は政策の中でも最大の目的といえます。
「働き方改革」は、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。
引用元:働き方改革特設サイト
今、働き方改革が必要な理由
最近では、働き方改革の重要性はさらに高まっています。多くの日本企業で主流となっている「オフィスワーク」では、社員同士が同じ空間で仕事をしたり、直接やり取りしたりしなければなりません。
そのため、自宅でも仕事ができる「リモートワーク」の導入が、日本企業にとっての急務となりました。リモートワークは時間や場所の制約が少ないため、柔軟な働き方といえます。そして前述のとおり、働き方改革の最大の目的は「多様で柔軟な働き方の実現」です。
つまり働き方改革は、これからの時代を生き抜いていくために各企業に求められる取り組みです。
働き方改革を実現するアイデア
では、日本企業はどのように働き方改革を取り組んでいけば良いのでしょうか。ここでは、企業が働き方改革を実現するためにおすすめのアイデアを2つ、ご紹介しましょう。
リモートワークを快適にするなら「グループウェア」
ビジネスで無駄が発生しやすいのは、社員間でのやり取りです。リモートワークでは相手と対面でのやり取りができないため、状況確認などでメールや電話を使う方も多いですよね。しかしメールの作成や確認には手間がかかりますし、電話では相手がすぐに対応できないこともあるでしょう。
そこで便利なのが、「グループウェア」。グループウェアとは社員間での情報共有やコミュニケーションを効率化してくれるオンラインツールです。社員間でのスケジュールや業務連絡などをすべてWeb上で行えるため、電話やメールで無駄なやり取りする必要がありません。
また、グループウェアによってはオンライン会議ができるソフトもあります。グループウェアには離れた相手ともスムーズにやり取りできる機能が豊富なので、リモートワークにはピッタリのツールです。
業務効率化して長時間労働を防止するなら「RPA」
長時間労働を防ぐには、やはり業務効率化によって残業時間を抑制する必要があります。特に、繰り返し行うパソコン作業を人間が地道に行うのは手間がかかるうえに、ミスが発生する恐れもあります。スムーズに作業を進めれば定時で帰れたところを、ミスや不手際のせいで残業するはめになった経験がある方も多いですよね。
このような残業を防ぐのに役立つのが、「RPA」。RPAはパソコンで発生する定型作業を記録して、繰り返し再現することで自動化するツールです。複数の業務ツールを使った作業でも自動化できるため使い勝手が良く、大幅に時間短縮できるだけでなく、ミスも防げます。
働き方改革のユニークな事例
働き方改革を実現した企業の中には、ユニークなアイデアを取り入れて成功した事例もあります。ここでは、働き方改革に成功した企業のアイデアを2つ、ご紹介しましょう。
イグナイトアイ株式会社:オフィスに「ABW」を導入
「イグナイトアイ株式会社」は、企業向けの人事システムを開発・販売している企業です。「創造的な生き方・働き方へのシフト」というミッションを掲げており、社員の働き方にも改革が求められていました。そこでオフィスに取り入れたのが、場所や時間を業務内容ごとに自分で決められる「ABW(Activity Based Working)」という働き方です。
社員ごとの固定席を用意しない代わりに、オンライン会議スペースやコミュニケーションスペースなど、業務に応じた場所を設けました。社員が自分で時間や場所を選べるため、柔軟な働き方ができるようになります。また、業務ごとに最適な働き方を選べるようになったことで、生産性向上にもつながりました。
UQコミュニケーションズ株式会社:「朝型勤務」の推奨
「UQコミュニケーションズ株式会社」は、電気通信事業を行う企業です。これからの時代には競争力強化が大切だという考えのもと、社員の生産性向上につながる様々な取り組みを行っています。その中でもユニークなものが、朝型勤務の推奨です。
具体的に言えば、7時30分までに出社した社員への朝食提供や、朝型勤務を残業時間にカウントするなどの取り組みです。朝型勤務を推奨する一方で、夜の残業は原則20時までとしました。仕事後に十分な休息時間が得られる分効率的に働けるようになり、全体として約10%の残業時間削減に成功しました。
働き方改革を進めるためのポイント
働き方改革を取り入れると、当然ながら従来の働き方に大きく変化が生まれます。そのため、中には反発する社員もいるでしょう。すべての社員が納得しながら働き方改革を進めていくためには、取り組みの重要性やメリットを全社的に共有していくことが大切です。
また、全社一斉に働き方改革の取り組みを行うと、何か不備があった場合に業務への影響も大きくなります。働き方改革の取り組みを進めるうえで、焦りは禁物です。まずは1つの部署で試験導入するなどして、効果を確認しながら徐々に進めていくのが良いでしょう。
とはいえ、働き方改革をどこから始めれば良いのかわからないですよね。そのような方には、業務改善のコンサルから弊社がRPAソフトの選定や最適な導入方法などサポートいたします。実際にRPAソフトを導入して業務効率化した企業も増えているので、働き方改革を実現したい企業の方はぜひ、お問い合わせください。
さて、今回は働き方改革を進めるためのアイデアや事例など、幅広く解説しました。内容について振り返りましょう。
・働き方改革とは、長時間労働の是正、正規・非正規の雇用格差解消、多様で柔軟な働き方の実現を3本柱とした、日本企業における働き方を抜本的に改革するための政策
・働き方改革の取り組みは、企業が今後生き残ることに必要
・働き方改革を実現するアイデアとして、リモートワークを快適にするなら「グループウェア」、業務効率化して長時間労働を防止するなら「RPA」を使うことがある
・働き方改革のユニークな事例
①イグナイトアイ株式会社:オフィスに「ABW」を導入
②UQコミュニケーションズ株式会社:「朝型勤務」の推奨
・働き方改革を進めるためのポイントとして、取り組みの重要性やメリットを全社的に共有していく、取り組みは焦らず、徐々に進めていくがある
脅威も存在する現代では、働き方改革はどの企業にとっても重要課題です。今回ご紹介した内容だけでなく、企業それぞれが働き方改革のアイデアを出していくことをおすすめします。そして働き方改革のアイデアを形にして、ぜひ実践しましょう。