【導入を考える企業必見】RPAでできること・できないこととは

RPA
 

最近はRPAが業務効率化に有用なツールだと知られるようになってきました。RPAにできることは何か、具体的に知りたいと現在興味を持っている方もいますよね。RPAは事務の自動化が可能で、昨今の人員不足や、業務量の増大に対応する手段として使えます。

しかし、RPAロボットは事務であれば何でも万能にこなせるわけではありません。どうしても人でないとできないこともあります。反対に、RPAができることを知ることで、うまい活用の仕方も自ずと見つけられるに違いありません。ぜひ、RPAのできることとできないことをしっかり知っておきましょう。

そこで、今回はRPAに興味をお持ちの方に、「RPAができること」についてお伝えします。RPAで代替可能な業務を知り、自社で効果的なRPA活用法とは何かを考えてみましょう。

 

RPAとは

そもそも「RPA」は略称で「Robotic Process Automation」の略語で、「ロボットによるプロセス自動化」が原語です。ここでいう「ロボット」は、物理的な実体を持たない「ソフトウェアロボット」です。

もっと詳しくいうと、RPAは「人がプログラムしたとおりにパソコンを操作するロボット」です。ただ、RPAはプログラミングの専門技能が不要で、一般の業務担当でもロボットの作成・活用が可能なため、企業に普及するようになりました。技術系のWebメディア『日経XTECH』によると、2018年には国内で5,000社以上が導入すると推計しています。

 

今、企業で続々とRPAが導入されている理由

まずは俯瞰的に国内のRPA導入状況を見てみましょう。IT調査会社のミック経済研究所によると、2018年のRPA市場は前年比2倍の約115億円になり、2019年も同様に伸長すると予測しています。現在は大企業による大規模なRPA導入フェーズは済み、中堅・中小企業にRPAが浸透中です。RPAベンダーの増加とともに、ノウハウも蓄積し、RPA導入の環境が整いつつあるといえるでしょう。

企業のRPA導入が進んでいる理由として、「人件費削減」「省力化」「働き方改革」があげられます。RPAはコスト削減効果に着目しがちですが、リソースを人に依存せず、大量の事務を効率よくこなす「省力化」の観点でも有用といえるでしょう。RPAに任せれば、残業必至だった繁忙期の事務処理も楽になり、専任者がいないがために業務が滞ることもありません。

 

RPAでできること

それではここで「RPAでできること」を紹介しましょう。

  • 【大前提】パソコンで操作できること
  • 操作手順が決まりきった定型作業
  • トリガーによるアクション設定

以下にRPAができることを説明するほか、「具体的に何ができるか」も例示します。

【大前提】パソコンで操作できること

RPAを適用できるのは、パソコンで操作できることに対してだけです。そのため、たとえ似たような事務作業でも、紙の書類になるとOCRによるデジタルデータ変換や、人による入力作業が必要になります。書類の分類、仕分けといったファイリング作業も、いったんデータ化してRPAに渡せばちゃんとこなしてくれるでしょう。

手順が決まっている定型作業

RPAはプログラムで設定されたとおりにしか動作しません。しかも手順が決まっているものであれば、RPAは長時間かかる大量の反復作業も設定されたとおりミスなく実行してくれます。

たとえば異なるシステムから帳票作成に必要なデータを取り出し、帳票に転記してメール送付するような、少々込み入った手順でも自動化が可能です。

トリガーによるアクション設定

RPAにある条件が発生したら何らかの操作をするように設定できます。たとえば毎日決まった時刻にレポート集計を行ったり、メールで受領書が届いたら請求書メールを自動送付するなど、「~が起こったら、RPAが~を行う」という条件つきの作業です。RPAが自動で対応してくれれば、単純な定期作業に人員を割かずに済み、随時必要なシステムチェックも省けるようになるでしょう。

 

RPAでできないこと

次に、RPAでできないことを紹介します。以下に該当する作業はRPAによる自動化が困難なので注意しましょう。

  • 人の判断を要する処理
  • 画像や画像内の文字認識
  • バックグラウンドでの実行

これらについて、次の章からそれぞれ詳しく解説します。

人の判断が必要な操作や処理

RPAは設定した手順や条件から少しでもそれてしまっていると動いてくれません。仮にExcelの項目と入力欄がちょっとずれていたり、欄外に補足コメントがあっても、人であれば対応してもらえるでしょう。RPAはたとえデータが桁違いの異常値を示していても、処理を中止したりせず、決められた作業を続行します。

画像や画像内の文字認識

RPAは画像認識が苦手です。複雑な画像の把握はまだ難しく、画像認識のAIの進化が待たれます。CAD図面などの込み入った線図の認識・特定や、地図のような複雑な線画と文字が重なる画像からの文字抽出や集計、分析等はまだ時期尚早と考えていいでしょう。

バックグラウンドでの実行

RPAはパソコンやサーバーにインストールして使いますが、RPAロボットが動作中はパソコンを占有するため他の作業はできません。例外的にRPAテクノロジーズ社の「BizRobo! Basic」はバックグラウンド運用が可能です。しかし原則、RPA作動中はパソコンが使えないことに注意しましょう。

 

RPA導入の成功事例

RPAができることに、定型作業の自動化があります。これはスケールメリットが大きく、大量の事務をかかえる企業ほどその恩恵を享受できます。

生保最大手の日本生命では、四半期決算や特定商品の満期に業務が集中し、臨時スタッフの採用と教育の負担増に悩まされていました。そこで2010年からRPAを採用、49の業務で100体のロボットを活用するまでになり、年に5万時間相当の余力を創出したとのこと。

また、繁忙期のピーク抑制と繁閑差の緩和により、現場の負担が大きく軽減したといいます。しかもRPAは時間を問わず稼働できるため、始業前の受付集計業務をRPAにやらせることで職員の早出出社が不要に。受付件数の多寡による業務負担の不均衡も解消できました。

パソコンを用意して操作設定をすれば、RPAは昼夜問わず、定型的な反復作業を長時間ペースを落とさず行ってくれます。月末に集中する大量の帳票処理や、時間外に処理が必要な業務をRPAに代替させれば残業を抑制でき、働き方改革にもなりますよね。

 

RPA導入を考える時にやるべきこと

最後に、RPAができること、できないことを把握したうえで、導入検討時に確認しておくべき点を説明します。

  • 適用予定の業務が人の判断に頼っていないか
  • 全社展開予定なら、共通環境から優先導入

適用予定の業務が人の判断に頼っていないか

設定さえすれば、RPAができることは多くあります。しかし、RPAの適用を予定する業務が人の判断に頼っていないか精査が必要となるでしょう。エラー修正や業務プロセスの進行に、条件分岐で目視確認が必要になると、そこがボトルネックになります。

RPA導入前に業務の棚卸しを行いますが、RPA適用候補となる業務の適格性は慎重に判断しましょう。

全社展開予定なら、共通環境から優先導入

RPAによる自動化を全社的に展開できれば、かなりの効果が期待できます。ただし、新しいシステムを導入する時はスモールスタートかつ、試験運用しながら展開するほうが確実でしょう。

効果的なRPA導入方法の一つに、WebやERPなど、全社共通のシステム操作の自動化を優先的に進めるやり方があります。全社的にノウハウを共有でき、効果測定、フィードバックも受けやすいです。

さて、今回は「RPAができること」についてお伝えしました。

RPAはパソコン操作をする自動ロボットです。企業のコスト削減や働き方改革に役立つため、幅広い企業に普及しつつあります。

 

【RPAでできること】

  • パソコン操作 :RPAの大前提
  • 定型作業 :自動プログラム設定のため
  • トリガーアクション設定 :条件発生による逐次対応も可

【RPAでできないこと】

  • 人の判断を要する処理 :例外処理や目視確認が必要なもの
  • 画像や画像内の文字認識 :AI画像認識の進化次第
  • バックグラウンドでの実行 :RPA動作時はパソコンを占有

【RPA導入時に確認すべきこと】

  • 人の判断を必要とする業務か:目視確認のプロセスは自動化困難
  • 展開を見据えた導入方針 :共通環境に優先導入するのも一つの手

RPAにはできることとできないことがあります。しかし、大量の定型業務を任せたり、時間外でも人の代わりに働いてもらうことで、社員みんなに余裕が生まれます。RPAの特性を踏まえて、効果的にRPAを導入・展開したいですよね。RPA導入を検討されているなら、ぜひ一度相談ください。